入れ歯は調整が必要です。定期検診も忘れずに
- 入れ歯を入れると痛い
- 違和感があって気持ち悪い
- 口や頬のお肉を噛んでしまう
- 食事が美味しく感じられない
これらの症状は、入れ歯を作ったばかりの患者さんからよく聞かれます。入れ歯を作る時に少し小さく出来上がってしまうのは、材質の特性上避けることができませんので、前提として数回の調整が必要です(一般的に4~6回のことが多いようです)。実際に使いながら調整を繰り返すことで、ご自分の口に合った入れ歯に仕上がります。
入れ歯が完成してからも、そのまま放置してはいけません。加齢とともにアゴの骨が減少たり、歯茎が痩せて少し隙間が出きることもあるので、年に数回の定期検診が必要です。
すき間ができてしまった場合、入れ歯の内面に柔らかい素材を付け足すなどの調整が可能です。応急的なセルフケアとして、義歯粘着剤(安定剤)の使用もおすすめです。
入れ歯が合わないと、多方面から健康が損なわれます
歯科に通うまでもないような違和感でしたら、ついそのままにしておくこともあると思います。しかし、次のようなトラブルが起こる可能性があります。
口内炎:入れ歯によって口腔の粘膜や歯茎の底の部分が擦れて傷ができ、口内炎などの炎症を起こします。
摂食障害:口に合わない入れ歯では食事が楽しめず、充分な量の食事が摂れなくなります。健康的に噛むこともできなくなります。栄養を流動食、ゼリー食などに頼るようになると、病気になりやすくなったり、痴呆症になりやすくなったりして、身体の健康寿命も短くなってしまいます。
他の歯の健康寿命が短くなる:入れ歯を使うと残っている歯への負担を軽くすることができ、結果として多くの歯を長持ちさせることに繋がります。
見た目の老化:人工歯がすり減り、噛み合わせの高さ(咬合口径)も低くり、シワが出来見た目が老けて見えるようになってしまいます。入れ歯を入れないことでも同様です。
咬み合わせの悪化:歯が無い状態の咬み合わせで慣れてしまうと、顎の骨、残っている歯もだんだんとずれてしまい、入れ歯そのものが入らなくなってしまうこともあります。咬み合わせの悪さは、肩こりや頭痛などの症状にもつながります。
薬との飲み合わせによる骨壊死:骨粗しょう症の患者さんでBP製材と呼ばれる薬を飲んでいる場合、歯肉にできた傷が原因で骨壊死がおこることもあります。(我慢せずにできるだけ早く歯科医院を受診することをおすすめします。)
入れ歯が体質に合わないことも
入れ歯の大きさや品質に関わらず、体質によって入れ歯が合わないこともあります。入れ歯そのものの適合はよくても、違和感、異物感が強いため具合が悪くなってしまうという声、最近よく聞くようになりました。このような場合は入れ歯以外の治療法を考えましょう。
入れ歯の代替になる治療方法
①ブリッジ:歯の無い部分の両隣の歯を削って、被せ物を橋のように繋げる治療です。
両隣に歯が残っていれば可能です。「歯のない部分が多い、隣(周囲)の歯茎が痩せている、連続して歯を失っている」などの状況で、支えになる歯が無い場合には選べない治療法です。
ブリッジのメリット
- ご自身の歯と同じような感覚で食事ができる。
- 1,2本の少数の歯の欠損に少数歯の欠損に最適
- 口内の状態が良ければ、最小限の治療で済む
- -固定性なので、着脱のわずらわしさがない
ブリッジのデメリット
- 支えになる歯を削る必要あるので、健康な歯負担をかけてしまうことがある。
- 固定性のため、お手入れがしづらく、不衛生になりやすい。
- たくさん歯が欠けている場合には治療できない。
- 嚙む力が弱くなる。
②インプラント:歯の無い所に人工の歯を入れる方法です。
「入れ歯(義歯床)が合わない方、美味しくご飯が食べたい、残っている歯をでいる限り長持ちさせたい方、健康寿命を伸ばしたい方」には、とても適しています。
歯周病が進行して、インプラントを入れる部位の顎の骨の状態が悪い場合は適していません。心疾患、骨粗しょう症、糖尿病などの持病のある方も難しい場合があります。
インプラントのメリット
- 自分の歯に近い感覚で噛むことができる
- 健康な歯に負担を与えることが無い
- 歯がやせるのを防ぐことができる
- 見た目が美しく、気持ちが良い
インプラントのデメリット
- 保険適用外なので、治療費がかかる
- 治療期間が長い
(手術+抜歯+経過観察が必要。挿入したインプラントと骨が結合するまで最短でも2か月間。) - 手術が必要(持病がある場合は不可能な場合がある)
- 治療後の定期メンテナンスが必要(3カ月に1回程度)
- 歯周病など感染症のリスクがある
以上のことをふまえて、入れ歯に違和感がある場合や、どうしてもうまく使えない場合は、できるだけ早く歯科に相談にすることをお勧めします。